FXとはForeign Exchangeの略語です。FX会社に取引する資金である証拠金(保証金)を預けて外貨を取引することを、外国為替証拠金取引(FX)といいます。
本コラムでは2回に渡ってこのFXの説明をしていきます。
後編の今回は、投資のタイプ別に初心者の人が抑えるべきポイントを解説します。
FXを始めたい人の やっていいこと・悪いこと (前編)はこちら
Contents
投資のタイプ
投資のタイプは売買期間によって区別され、一般的には以下のように分かれています。
・デイトレード(短期):数時間〜1日/取引数:多い
・スイングトレード(中期):数日〜数週間/取引数:やや多い
・スワップ狙い(長期):数週間〜数ヶ月/取引数:少ない
投資タイプごとに、抑えるべきポイントを説明していきます。
ゆったり気長に長期投資タイプ
長期タイプの人のポイントは以下の3点です。
1.大きな流れを見ていく
2.レバレッジをコントロールする
3.金利が高い通貨を選ぶ
大きな流れを見ていく
為替の動きを大き目のレンジでチェックしていくため、長期タイプの人は、買いポイントがみつけやすいです。
長期のチャートから、だいたいのレンジ幅を見つけて、安値圏で買って高値圏で売ればいいのです。
レバレッジをコントロールする
レバレッジとは、自分の準備した証拠金に対して、25倍までの金額が取引できるFXの仕組みのことです。
(詳しくは、FXを始めたい人の やっていいこと・悪いこと (前編)をご確認ください。)
レバレッジのメリットは、「効率よく資産が増える」「小額からスタートできる」ことです一方、デメリットは「リスクが高くなる」ことです。
リスクがあるからこそ損をしない取引が大事になります。
では、損をしない取引を理解するために、ケーススタディを紹介します。
以下の場合、レバレッジは何倍までかけても大丈夫でしょうか?
Q:ドル/円を100円で買い、何年も長期保有をするとしたら何倍のレバレッジまでかけられる?
※ヒント:FX会社に預けているお金が4%より割りこんだら、強制的に決済されてしまいます。
このケースに明確な答えはないのですが、初心者におすすめの方法を以下に示していきます。
まずは、変動率を考えてみましょう。
ドル/円は、大体25%程度上下する可能性があります。
つまり4倍レバレッジを掛けていれば、25%✕4倍=100%で、証拠金に達する可能性があります。
なので、限界レバレッジは4倍とし、4倍より低くするのが鉄則です。
なお初心者には限界レバレッジの半分がおすすめです。
ポイントとしては、レバレッジをかけすぎなければ、損失を回避できやすいということです。
金利が高い通貨を選ぶ
日本、アメリカ、ユーロの中で一番高い金利はアメリカです。※2017年7月の場合。
アメリカドル通貨を持っていれば、約1.15%のスワップ金利を毎日もらうことができます。
しかし、ユーロ通貨を持っていた場合、約0.1%の金利を払う必要があります。
政策金利が高い国の通貨を持つと、スワップ金利が毎日もらえるという点がポイントです。
FXの2つの利益と2つの分析
投資で得られる利益には主に2つあります。
インカムゲインとキャピタルゲインです。
インカムゲインとは簡単にいえば、長く持てば持つほど得られる利益のことで、キャピタルゲインとはタイミングよく取引できれば得られる利益のことです。
高金利の通貨をタイミング良く買えれば、利益がより大きくなりやすいです。
そのための王道の分析方法が2つあります。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析です。
簡単に説明すると、テクニカル分析は、チャートでタイミングをつかむ分析で、ファンダメンタルズ分析は、ニュースでタイミングをつかむ分析のことを言います。
テクニカル分析の基本
テクニカル分析の基本を理解するために、「ローソク足」と「移動平均線」の説明をします。
ローソク足とは
日本生まれの非常に便利な分析手段です。
ローソク足は始値、終値、安値、高値の4本値を使って表されます。始値と終値の部分が四角いローソクの形で表され、高値と安値はひげと呼ばれる線で表されます。白いローソク足は陽線と呼ばれ、始値に対して終値が高いことを表します。黒いローソク足は陰線と呼ばれ、始値に足しして終値が低いことを表しています。
ローソクは「日足」といって、1日に1本のローソク足を書くものが基本となりますが、週に1つのローソク足を書く「週足」や月に1本のローソク足を書く「月足」などもあります。
株の成果ではローソク足を形を重視する人が多いのですが、為替の場合はそこまで厳密に分析できなくても問題ありません。特に初心者の人は、「上がっているときは陽線、下がっているときは陰線が多い」程度に理解し、ローソク足で「流れ=トレンドを見極める」ことが大切です。
移動平均線とは
相場のトレンドはを見極めるには、移動平均線が便利です。
移動平均線とは、移動平均を線で結んだものです。
移動平均とは、ある期間の終値を平均したもので、例えば、5日移動平均とは、5日間の終値を平均したものです。
日足のローソク足を使う場合に最もよく使われるものが25日の平均値である25日移動平均線です。
トレンドに沿ってポジションをとるということを考えると、買いたい場合はローソク足が25日移動平均を上回った時がチャンスです。逆にローソク足が移動平均線の下に位置している場合は売りから入るポジションを検討しましょう。
長期投資向きの通貨である条件は、「上昇トレンド + 金利が高い」という状態です。
アグレッシブに短期タイプ
短い期間で利益を得たいなら、短期投資を行う必要があります。
このような短期タイプの人の投資ポイントを見ていきましょう。
短期投資のキーワードはレバレッジ+テクニカル分析です。さらに具現化すると、短期投資で重要なことは「より細かなテクニカル分析で、跳ね返る瞬間を狙う」といえます。
短期投資で使う代表的なテクニカル分析は前述した
・ローソク足(日足、分足)
・移動平均線
になります。
短期売買で使うテクニカル分析
・上昇トレンドのときの一時的な下げ
・下降トレンドのときの一時的な上げからの跳ね返りを狙いましょう。
短期売買で使うテクニカル分析の基本ステップは以下の4つです。
STEP1 移動平均線でトレンド確認
STEP2 一時的に戻ってきたら注目
STEP3 跳ね返りのローソク足を待つ
STEP4 次のローソク足で買う(売る)
上昇トレンドの一時的な下げの場合、チャートは陽線になります。
逆に下降トレンドの一時的な上げの場合、チャートは陰線になります。
イグジットタイミングの2つポイント
更に、チャートを利用するためにはイグジット(EXIT)のタイミングをマスターしましょう。
イグジットとは、ポジションを閉じることです。つまり、買ったら売り、売りなら買いのことです。また、ポジションを持つことはエントリーといいます。
イグジットのタイミングは以下の2つで設定しましょう。
1)目標を達成する
2)線が割れる
なぜこの条件が適切であるかということはここでは割愛しますが、相場が上昇したとき、あるいは下降になったときの2つのルールは必ず設定をしておきましょう。そうすることで、自分の心理状態にかかわらず冷静にトレードを進めることができます。
投資を行うにあたっては、目標達成と崩れ(線が割れる)両方のイグジット戦略が大事になります。
チャートをマスターすれば、アグレッシブな短期投資が可能になりますが、短期投資をする場合はしっかりとチャート内容を理解してから挑戦しましょう。
実はいいところどりのMixタイプ
長期のエッセンスと、短期のエッセンスを混ぜると、中期型というタイプになります。初心者の人におすすめなのはこの中期型です。
このタイプはニュースにも注目するようにしましょう。
前述したとおり、ニュースの分析=ファンダメンタルズ分析です。
ファンダメンタルズ分析の詳細は省きますが、テクニカル分析&ファンダメンタルズ分析(テクノファンダ)の世界を深く知ることによって、大きな潮流を逃さない的確な判断軸を身につけることができるようになります。
まとめ
短期投資をするのか、長期投資をするのか、もしくは中期投資をするのかは自分次第です。
投資は自己責任ですので、しっかりと目標と勉強をしてから投資をスタートしましょう。
最後に今回のまとめです。
FXを始めたい人の「やっていいこと」
・限界レバレッジを計算する
・大きな流れを見て、有利な取引をする
・金利がもらえる通貨を選ぶ
・トレンド(流れ)に沿う
・移動平均線+ローソク足でタイミング
・ニュース+価格の変化を見ておく
FXを始めたい人の「悪いこと」
・レバレッジを適当に使う
・大きな流れを見ない
・金利を払う通貨を選ぶ
・トレンドと(流れ)と逆の取引をする
・チャートを見ない
・ニュースを見ない